自分を責めることは「真面目さ」だと思っていた
僕はずっと、自分を責めるのが得意な人間だった。
失敗したら、自分の努力不足。
うまくいかなかったら、能力が足りない。
結果が出なかったら、覚悟が足りない。
そうやって原因をすべて自分に向けることが、
「真面目に生きている証拠」
「成長するために必要な態度」
だと、本気で思っていた。
野球をやっていたころもそうだった。
練習が足りないから打てない。
試合で結果が出ないのは、気持ちが弱いから。
レギュラーになれないのは、自分の責任。
だからもっと練習した。
もっと追い込んだ。
もっと自分に厳しくした。
「自分を責め続けられる人間は、最後に強くなる」
そう信じていた。
社会に出ても、自分を責める癖は直らなかった
野球を辞めて社会に出ても、その癖は消えなかった。
JRに入社してからも、
覚えが悪いのは自分のせい。
ミスが怖いのは自分が未熟だから。
緊張するのは、覚悟が足りないから。
体調が悪くても、
「これくらいで弱音を吐くのは甘えだ」
そうやって無理に押さえ込んだ。
出社前に息が苦しくなっても、
眠れない日が続いても、
微熱が下がらなくても、
「社会人なら当たり前」
「ここで逃げたら終わり」
自分を責める言葉だけは、次から次へと出てきた。
自分を責めるのが「上手」だということの怖さ
今振り返って思う。
自分を責めるのが上手すぎる人間は、
壊れる寸前まで止まれない。
なぜなら、どんな異変が起きても、
すべてを「自分のせい」にできてしまうからだ。
環境が合っていなくても、
仕事の性質が向いていなくても、
負荷が高すぎても、
「自分が弱いだけ」
「まだ頑張れるはず」
と、思い込めてしまう。
これは、ある意味で才能だ。
そして、とても危険な才能でもある。
出社前のベンチで、ようやく異変を認めた
忘れられない光景がある。
出社前、会社の近くのベンチ。
会社の自動ドアはすぐそこ。
でも、息が苦しくて、
どうしてもドアを開けられなかった。
「行かなきゃ」
「ちゃんとしなきゃ」
頭では分かっているのに、体が動かない。
このとき初めて思った。
「これは、根性論じゃないかもしれない」
それでもなお、
「自分が弱いだけだ」
という考えを、完全には捨てられなかった。
辞める決断よりも、怖かったもの
JRを辞めると決めたとき、
一番怖かったのは生活でも将来でもなかった。
「自分を見る目が変わること」が怖かった。
周りからどう思われるか。
評価が下がるんじゃないか。
「逃げた人」と見られるんじゃないか。
でも、実際に辞めて分かったことがある。
周りの人の接し方は、何も変わらなかった。
あれほど怖がっていたのは、
ほとんど自分の想像だった。
つまり、
一番自分を責めていたのは、
他の誰でもなく、自分自身だった。
ITの世界で知った「責めなくても続けられる働き方」
ITエンジニアとして働き始めたときも、
最初は同じだった。
分からないことが理解できないのは、自分のせい。
進まないのは、努力が足りないから。
でも次第に、考え方が変わっていった。
「全部を完璧に理解しなくても、仕事は前に進む」
「無理をしなくても、積み重なるものはある」
頑張りすぎない範囲で働き、
長く続けることも、一つの強さだと知った。
この経験は、
自分を責める癖を、少しだけ緩めてくれた。
自分を責めなくなったら、弱くなったのか?
答えは、NOだ。
むしろ逆だった。
自分の限界が分かるようになった。
できないことを、できないと認められるようになった。
完璧を目指さなくなった。
これは「甘え」じゃない。
持続可能な強さだった。
限界を知らない強さは、
いつか折れる。
でも、限界を知った強さは、
折れにくい。
自分を責めることで、守れなかったもの
思うことがある。
あれだけ自分を責め続けて、
一体、何を守れていただろうか。
健康も、
心の余裕も、
人生を楽しむ気持ちも、
全部、後回しにしてきた。
責めることで前に進んでいるつもりでも、
実際は「同じ場所で消耗していただけ」だった。
自分を責めるのが上手すぎた僕へ
もし、過去の自分に声をかけられるなら、こう言いたい。
「そんなに責めなくていい」
「全部、自分のせいにしなくていい」
頑張れなくなったのは、弱くなったからじゃない。
限界に気づけるようになっただけだ。
逃げること、あきらめること、引き返すこと。
それらはすべて、生き延びるための技術だ。
今、自分を責め続けているあなたへ
もしこの記事を読んでいるあなたが、
- 何かあるたびに自分を責めてしまう
- 休むことに罪悪感を覚える
- 「まだ大丈夫」と言い聞かせ続けている
そんな状態なら、これだけは伝えたい。
自分を責めることと、成長することは、同義じゃない。
環境を変えることも、
やり方を変えることも、
立ち止まることも、
すべて「前進」の形になりうる。
おわりに
自分を責めるのが上手だった僕は、
たくさん我慢して、たくさん消耗した。
でも今は、少しだけ違う。
責める前に、立ち止まれる。
ダメだと感じたら、環境を見る。
「自分が悪い」と即断しない。
それだけで、人生はかなり楽になった。



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