野球で身についた力は、社会で本当に役に立つのか?

人生・キャリア

はじめに

野球をやってきてよかったか?
そう聞かれたら、今の僕ははっきり「よかった」と答える。

ただ、野球をやめた直後から、そう思えていたわけじゃない。

むしろ当時は、
「一番の武器を失った」
そんな感覚のほうが強かった。

野球以外に、自分にアピールできるものはあるのだろうか。
社会に出て、通用するのだろうか。

そんな不安を抱えながら、
僕は野球の世界から外へ出た。


野球の世界と、社会の世界はまったく違った

野球の世界では、
結果を出せば、ある程度の自由があった。

評価も分かりやすい。
ヒットを打てば褒められる。
結果を出せば、立場も守られる。

でも社会は違った。

JRに入り、働き始めてまず感じたのは、
規則とルールにがんじがらめな苦しさだった。

結果さえ出せばいい世界ではない。
決められた手順、時間、報告。
一つひとつを正確に守ることが求められる。

野球とは、まったく違う種類の苦しさだった。

正直に言うと、
「世の中の人は、こんな世界で毎日働いているのか」
そう思って、心からすごいと感じた。


野球は、すぐには役に立たなかった

社会に出てすぐ、
「野球をやってきてよかった」と思える場面は、ほとんどなかった。

むしろ、
野球で通用していたやり方が、そのまま通じないことのほうが多かった。

努力すれば評価される。
根性があれば何とかなる。

そう信じてきたけれど、
社会はそんなに単純じゃない。

ここで僕は、一度つまずく。


それでも、確かに生きていたものがあった

ITの現場に入ってから、
少しずつ感覚が変わり始めた。

業務が大変でも、
「これは自分の力になっている」と感じられる瞬間があった。

それは、
野球でヒットを打ったときの感覚に、どこか似ていた。

最初は何も分からなかったコードが、
ある日、急に読めるようになった。

案件の概要を聞いたとき、
「次にやるべきこと」が頭の中でイメージできた。

あの瞬間、
野球で積み重ねてきた時間と、今がつながった気がした。


野球で身についた力は「変換」しないと使えない

今なら、はっきり分かる。

野球で身についた力は、
そのまま出しても、社会では伝わらない。

でも、形を変えれば、確実に武器になる。

例えば――

  • 上下関係を大切にする姿勢
    → 挨拶・礼儀として、信頼につながる
  • 極めたいと思ったことから逃げ出さない忍耐力
    → 学び続ける力として、生きてくる

これらは、野球を真剣にやってきた人ほど、
自然と身についている。


今なら、あの頃の自分にこう言う

野球をやめた直後の自分に、
今ならこう伝えたい。

「社会は、自分に合わせてくれない。
だから、自分が周りに合わせる努力が必要だ」

これは、突き放す言葉じゃない。

社会で生きていく上での、
現実的なスタートラインだと思っている。


野球しかやってこなかった人へ

もし今、
「野球しかやってこなかった」と不安を感じている人がいるなら、
これだけは伝えたい。

確かに、野球の技術そのものは、
直接的には使えないことが多い。

でも、

  • 挨拶
  • 礼儀
  • 忍耐力
  • 継続する力

こうした社会人として活躍するための土台を、
すでに持っている人は本当に多い。

あとは、
「新しい自分の武器」を作っていくだけだ。


おわりに

野球で身についた力は、
勝手に評価されるものじゃない。

でも、
言葉にして、形を変えて、前に出せば、確実に役に立つ。

野球は終わった。
でも、野球で作られた土台は、今も自分の中にある。

そこに、新しい武器を積み上げながら、
これからも前に進んでいこうと思う。

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